時が止まったかのような感覚に酔いしれて







「寒い」

「そうだな」

「何とかしてよ向日」

「無茶言うな」



先日行われた数学の抜き打ちテストの結果、見事赤点を取ったのはうちのクラスではあたしと向日、二人だけだった。

そんなわけで放課後、補習を受けたあと家が割と近いことが判明し、なりゆきで二人で帰っているというわけだ




「前々から気になってたことあんだけど聞いていい?」

「おー 何?」

「向日ってなんでそんな奇天烈な髪型なの?」

「・・・ほっとけ おまえこそなんでそんな奇天烈な脳みそしてんだよ」

「・・・ほっとけ」



向日が噴き出すように笑った
考えてみれば向日と二人でゆっくり話すなんて今日が初めてのことだ





「・・・寒い」

「寒いって言うから余計寒いんだよ」

「・・・暑い暑い暑い」

「いや暑いっつっても暑くはなんねーけどな」

「うー・・・」



はぁ、と溜息をつく。
寒いのだけは本当に苦手だ。冬自体は好きなんだけれど。



ほんと寒がりだよなー 夏でもカーディガン手放さないもんな」

「・・・よく知ってんじゃん」

「そりゃまぁ、」

「ん?」

「・・・・・・・なんでもねー」



向日が目をそらして気まずそうにどもる




「何ー?気になる」

「なんでもいいだろ!」

「良くないよー 何?」

「あーもう うるせー!」

「うるさくないもん!」

「うるせーよ 超うるせー」





そうこうしていると、ピュゥッとひんやりした風が吹いた




「寒っ!やっぱ寒い!向日 なんとかしたまえ」

「あーもー ・・・ん。」




向日が右手をあたしのほうに差し出す。





「?何 あたしお菓子とか持ってないけど」

「ちっげーよ馬鹿 こーすんの」






ぐいっと手を引っ張られて、左手に温かくて優しい感触






「・・・寒いから」




一方的に繋がれた手から広がる温かさが妙に心地いい


心なしか少し赤くなった向日の横顔を見ると、あたしより少し、ほんの少しだけ背の高い向日がちょっと頼もしく感じた




手をきゅっと握り返すと向日が少し驚いた顔をしてあたしのほうを見て微笑んだ



それからしばらくお互い何も話さず手を繋いだまま歩いた









「(・・・なんていうか、)」












なんだか泣きそうになる 寒いのに、左手だけがやけに熱いんだよ









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次の日学校で会ってお互いちょっとぎこちないといいアルよ
寒いですね最近。